DSF参加者に聞いてみました-CMエンジニアリング株式会社 斎藤 早苗さん

仕様書で設計効率を上げる

DSF参加者に聞いてみました企画第二弾

DSF2015講演者 CMエンジニアリング株式会社 斎藤 早苗(さいとう さなえ)さん

皆さんこんにちは。DSF企画担当のEDAエクスプレスの菰田(こもだ)です。

「DSFに参加された方々に話を聞いてみましょう」企画の第二回目となる今回は、DSF2015で講演して頂き、見事ベストスピーカー賞(スポンサー・セッション部門)を獲得した、CMエンジニアリング株式会社の斎藤 早苗さんに登場頂きます。

斎藤さんは、沖電気工業にて通信インフラ向けASICの開発に従事。前職の株式会社沖ネットワークエルエスアイでは、ASIC開発の経験を活かし、2000年代前半に登場したランダム検証、アサーション検証といった新たな検証手法を用いた第三者検証サービスの提供に関わってきた。現職のCMエンジニアリング株式会社には2010年の立ち上げから所属。検証コンサルティングにおける長年の実績から、検証エキスパートと呼ぶにふさわしい人物だ。

聞き手(EDA-EX菰田):あらためまして、一昨年はDSFでのご講演ありがとうございました。ベストスピーカー賞の受賞、流石だなと思いました。

斎藤氏:いえいえ、DSFはベテランのエンジニアの方も多いので緊張しました。ただ、話した内容については納得して頂いた方が多かった様子で安心しました。

聞き手:斎藤さんの講演は「仕様書作成のススメ」でしたね。具体的にはどのような内容だったのでしょうか?

斎藤氏:仕様書が何で作成できないのか?また、どうして仕様書作成が後回しになってしまうのか?その理由を私なりに掘り下げた上で、仕様書作成のポイントについてお話させて頂きました。

聞き手:なるほど。御社は「SpecInsight」という仕様書作成と検証に活用するツールを販売されていますよね。「SpecInsight」を開発しようというきっかけが何かあったのですか?

斎藤氏:きっかけは当社の第三者検証サービスです。検証にあたってお客様から頂く仕様書の内容が曖昧だったり、意図が分かり難かったりというケースが少なく無く、仕様書作成に悩んでいるお客様も多いと感じていたので、当社では検証サービスと合わせて早くから仕様書の改善に関する取り組みを進めていました。

聞き手:その答えの一つが「SpecInsight」という事ですね?

斎藤氏:はい。ツールを開発する前から「仕様書のお困り解消セミナー」みたいな事をやっていまして、お客様からの反響が大きかったですね。現在でも年に数回「仕様書の作成セミナーを開催しています。

聞き手:それほど仕様書作成は大事だと?

斎藤氏:とても大事ですね。仕様書をちゃんと書くと設計効率が確実に上がると思います。但し、書いた仕様書がデータとして設計に繋がっていないと意味がありません。ですので、自社のツールやノウハウを用いてお客様の仕様書作成をサポートしています。ただ、最近は開発期間がとても短くなってきていて、設計者が仕様書に時間をかけられなくなってきている気がしますね。

※DSF2015 CMエンジニアリング斎藤様講演資料

聞き手:そうなんですね。そうなると益々CMエンジニアリングさんの出番が増えますね。(笑)検証についてはいかがですか?やはり皆さん苦労されてますか?日本の検証は遅れているといった声も耳にしたりしますが。

斎藤氏:当然、開発対象や規模、頻度によって違うと思いますが、日本の検証手法はそんなに遅れているとは思いません。ただ、やはり開発現場が忙し過ぎて、新しい事にチャレンジできていないような気がしますね。

聞き手:チャレンジですか。大事ですね。DSFでもチャレンジは一つのキーワードになっています。CMエンジニアリングさんでは何か新しい事にチャレンジされていますか?

斎藤氏:そうですね、当社では割りと新しい技術には積極的に取り組んでいます。EDAベンダさんと協力して新しいツールの試用みたいな事も良くやっています。それから最近は新たに「検証コストのダイエット」という提案を行っています。

聞き手:面白そうですね。「検証コストのダイエット」について詳しく聞かせて下さい。

斎藤氏:その名の通り検証コストの削減を狙った提案なのですが、例えば検証項目を減らす設計であったり、EDAツールを使い易くする設計など、検証容易化設計の実践を提案しています。結局のところ、設計段階から対策しないと検証の問題は解決できないので、検証エンジニア視点からの設計に対する提案は積極的に進めていく予定です。

聞き手:第三者検証から仕様書対策、そして設計提案へという流れでサービスを発展・拡充されている訳ですね。素晴らしいと思います。ところで、もう一つのモノ作りのビジネスの方はいかがですか?

斎藤氏:当社の通信技術を武器にした製品開発に力を注いでいて、無線マイコンモジュールや無線通信IPコアなどを販売しています。製品は海外市場も視野に入れていて、ベトナム子会社との協力体制を作っています。

聞き手:検証サービスだけでなく、独自のツールやチップの開発・販売も行っているという点が、CMエンジニアリングさんのユニークなところだと思います。国内では貴重な存在と言えるのではないでしょうか。今後の更なる展開に期待しています。

聞き手:最後にこのインタビュー記事の読者に一言お願いします。

斎藤氏:DSFにはトーク・セッションのパネリスト、そしてスポンサー・セッションの講演者として参加させて頂きましたが、とてもフレンドリーな雰囲気のイベントで、講演者、参加者、スポンサー問わず、仲間作りができる場だと思いました。講演を聞いて帰るだけではもったいないので、DSFに参加するなら是非仲間作りをオススメします!

 

斎藤さん、お忙しいところインタビューにお付き合い頂きありがとうございました。

DSFではトーク・セッションがお気に入りという事で、是非いつかモデレータとしてご参加下さい!

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